一、脾の生理機能と病理の核心
1. 脾の生理特性
- 後天之本:水穀精微の運化を主宰し、清を昇らせ濁を降ろし、血液を統攝する(『素問・霊蘭秘典論』:「脾胃は倉廩の官、五味が出る」)。
- 気血生化の源:脾虚は百病を生じ、気血不足は臓腑の栄養不良や水湿痰飲の内生を引き起こす。
2. 脾病の核心病機
- 気機の失調:脾虚気陷(臓腑の下垂)、脾不統血(出血)。
- 水湿の停滞:脾陽不足(水腫)、湿邪困脾(腹脹食欲不振)。
二、脾系疾患の弁証分型と治療方案
脾虚総方:艾灸+手技+刮痧。
艾灸:神闕、陰陵泉、内関、八髎;
手技:腋下大筋、黄金線、清胃火、帯脈;
圧穴:内庭、土水、陰包、公孫;
刮痧:脛骨外側(胃経の小腿部)。
①、脾虚気陷:脾の健運が不全で、消化と水液代謝の病理表現。
表現:食欲不振、少食、消化不良、腹脹、大便が先に硬く後で溏便(脾の健運が不全で、水湿が大腸に停滞);
倦怠感、声が低い(水穀精微が上焦に上昇して宗気を形成し、宗気は話すことに関連);
少食、小便が米の色(精華物質が上昇して気血を形成できず、下に膀胱に入り、小便が米湯の色になる)、発熱(下陷が湿熱を下注し、後期に下焦の発熱を形成);
舌像:中焦の厚白苔、下焦の微黄;
症状:慢性消化不良、胃潰瘍、慢性腸炎、肝炎、肝病水腫、栄養不良;
手技:黄金線;
艾灸:傻瓜灸;
中薬:補中益気湯;
食療:山薬米湯、小米湯。
山薬:皮が黄色で脾に入り、健脾止瀉(渋性-健脾止瀉)、気陰両補、積食や下焦の湿熱には不適、食前血糖6以上の人には不適;
大棗:皮が赤く肉が黄色、甘味、脾に入り、甘温益気;
陳皮:色が黄色、辛味(辛は気を巡らせる)、脾胃の気滞による胃腹の脹痛を治療。
②、脾陽不足:気機の下陷、脾虚の下陷
判断:気血不足、臓腑の下垂(胃下垂、子宮下垂、腎下垂、痔、脱肛など、脾が清を昇らせて栄養物質を全身に運ぶため、脾陽不足で気機が下陷し、托挙力がなく下垂を引き起こす)
1、気血不足
清気が上昇できず、濁物が上に停滞し、膨満感が現れ、脾気が上昇できずに下痢が起こる。
表現:めまい、腹脹
2、臓腑の下垂(挙上力がない):胃下垂、腎下垂など、疝気を含む
症状:下痢、小便が米の色
3、内傷発熱、湿熱の下注
調理方法:黄金線+捏脊、拍百会
食療:補中益気湯、葛根煮湯。
③、脾不統血
論理:火生土、子が母を実らせる、脾が生成した血を心臓に供給し、運ぶ機能があるが、脾気が虚弱で血が正常に循環できず、血が脈外に溢れ、胃腸出血(便血)、膀胱出血(尿血)、皮下出血(皮膚の紫斑)、歯茎出血、崩漏などが起こる。
急性処理:針、
薬物:党参、黄耆、人参
脾気虚弱の治療:艾灸+陰包(脾気を振奮)
④、脾虚水腫
原因:脾が水液の運化を主宰し、脾陽不足で運化できず、水湿が内停し、水液が正常に膀胱に入らず、身体の過程で代謝できず、陰が形を成し、陰水が四肢や他の部位に堆積する。
表現:便溏、腹脹
治療:脾陽を温補、利水消腫
食療:茯苓(補脾利湿)、冬瓜
総方:泻胃火+黄金線(陰陵泉+公孫)
⑤、湿邪困脾
症状:眠気、頭身の重さ、四肢の無力、腹満脹、胃の逆酸
総方:黄金線+帯脈

証型 | 核心病機 | 典型症状 | 治療原則 | 代表方剤/手技 |
---|---|---|---|---|
脾虚気陷証 | 中気不足、挙上力がない | 臓腑の下垂、便溏、小便の濁り | 補中益気、昇陽挙陷 | 補中益気湯+黄金線提拉 |
脾陽虚証 | 陽虚生寒、水湿の運化が不全 | 腹の冷痛、浮腫、白帯の清稀 | 温陽散寒、健脾利湿 | 理中丸+艾灸神闕穴 |
脾不統血証 | 気が血を攝まえず、血が脈外に溢れる | 便血、崩漏、皮下の紫斑 | 補気攝血、固攝衝任 | 帰脾湯+陰包穴圧迫 |
脾虚水腫証 | 脾虚で水が泛し、陰水が積聚 | 四肢の浮腫、腹脹如鼓 | 温陽利水、健脾化湿 | 実脾飲+黄金線刮痧 |
湿邪困脾証 | 湿濁が内阻し、脾の健運が失われる | 頭身の重さ、食欲不振、逆酸 | 燥湿運脾、理気和中 | 平胃散+帯脈松解 |
三、特色療法と実操ガイド
1. 手技と穴位の調理
- 脾虚気陷:
- 黄金線提拉:天突から鳩尾まで任脈を提拉し、脾の清昇力を強化する。
- 公孫穴圧迫:第一跖骨基底部の公孫穴を強刺激し、脾胃の気機を調節する。
- 脾陽虚:
- 艾灸神闕+命門:毎日15分間、脾腎の陽気を温補する(『針灸大成』)。
- 捏脊療法:尾骶から頸部まで脊柱の両側を提捏し、脾経の経気を活性化する。
2. 经典方剤の解析
- 補中益気湯:黄耆で気を補い、柴胡で陽を昇らせ、白朮で脾を健やかに、三薬の配伍で中気を昇提する(『脾胃論』)。
- 実脾飲:厚朴、木香で気を巡らせ、茯苓、白朮で脾を健やかに、附子で陽を温め、陰水の水腫を治療する。
四、食療と日常の調護
1. 薬食同源方案
- 脾虚気陷:
- 山薬米湯:山薬100g+粳米で粥を煮る、健脾止瀉(気陰両補、積食者には注意)。(山薬:脾陰を補い、止瀉、気陰両補の効果があるが、積食や下焦に湿熱がある場合は効果が得られない。)
- 黄耆紅棗茶:黄耆10g+紅棗5個で煎汁を作り、気を補い陽を昇らせる。
- 粥:山薬蓮子粥、紅棗蓮子小米粥、薏苡仁粥、桂圓粥、南瓜粥、蓮藕、トウモロコシなど
- スープ類、米湯、小米湯
- 脾陽虚:
- 生姜豚胃湯:生姜15g+豚胃を煮込み、中を温め寒を散らす。
- 茯苓赤小豆粥:茯苓30g+赤小豆20g+粳米で粥を煮る、利水消腫。
2. 禁忌と養生
- 細かく噛んでゆっくり飲み込む、定量を定時に摂る
- 飲食禁忌:脾虚は生冷(アイスドリンク、刺身)を避ける、湿盛は甘いもの(ケーキ、チョコレート)を避ける。
- 作息の提案:巳時(9-11時)は脾経が当令、朝起きて腹を100回摩ることで脾胃を健運する。
五、現代研究と经典の溯源
- 『黄帝内経』:「脾病して四肢が使えない」——脾虚で気血不足、肢体が栄養されない。
- 現代研究:脾俞穴の艾灸で慢性胃炎患者の胃蛋白酶活性を向上させることができる(『中国針灸』, 2023)。
- 舌象の関連:舌が淡くて太く歯痕がある(脾虚湿盛)と舌が赤くて苔が少ない(胃陰虚)の鑑別ポイント。
- 自分の状態と照らし合わせると、脾虚気陷の症状が明らかで、消化機能が悪く栄養を吸収できない。真剣に黄金線を行い、朝に米湯を一杯水代わりに飲むことを始める。
注:本文で述べた療法は中医師の弁証指導の下で行う必要があり、器質性病変(肝硬変、巨脾症など)は中西医の併用治療が必要。方剤の量は成人の通常量であり、臨床での使用は個別に調整する必要がある。
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